スーパーの商品に見るミリリットル・mℓ・ml・mL
体積の単位「ミリリットル」は、記号では mℓ や ml、mL などと書かれる。要はリットルのエルをどう書くかの違いだが、Wikipedia ではこのエルについてこう解説されている。
本来、リットルを表す記号は小文字の l だけである。SIにおいては、人名に由来する単位のみ記号の一文字名を大文字にし、それ以外の単位は全て小文字で書くことになっている。
リットル - Wikipedia
しかし、多くの英語圏の国では、筆記体のアラビア数字の1を単に垂直の線のみで示すのが一般的となっており、これとラテン文字の小文字の l はまぎらわしい。
1979年、第16回CGPMで、大文字の L をリットルの新たな記号として用いることが採択された。また、将来この2つのうちのどちらか1つのみを正式なものとして選択されるべきであると表明されたが、1990年の会議ではまだその時期ではないとされている。現在では、産業技術総合研究所やアメリカ標準技術局 (NIST) は、大文字の L を使用することを推奨している。
また、1979年以前には、小文字の l の筆記体である ℓ (U+2113) が日本をはじめとするいくつかの国でリットルの記号として使用されていた。この記号は、現在でも非英語圏の国のいくつかで見ることができる。日本の小学校教育では、現在でも ℓ を用いるように教えている*1。しかし、多くの国ではこの記号は用いられておらず、国際度量衡局 (BIPM)、国際標準化機構 (ISO) やその他の国際標準機関はこの記号を公式なものと認めていない。
近所のスーパーに行ったときにどの表記が多いのかふと気になったので、商品に書かれている「ミリリットル」がどうなっているのかちょっと調べてみた。
小さなスーパーといえどもいろいろな商品があるが、今回チェックしたのは栄養ドリンク・ペットボトル飲料・調味料(醤油や酢など)の3品目のみ。商品のラベルには原材料名や製造者名を書いた枠があるが、その中にある内容量の項の表記を見て調べた。母数が少なく、また定量的な調査でもないが、だいたい次のような傾向が見て取れた。
- 栄養ドリンク
- mL が多い
- ペットボトル飲料
- ml が多い
- 調味料(醤油や酢など)
- ミリリットル・mℓ が多い
栄養ドリンクに mL が多いのというのは、見るからに理系っぽくて納得できる。逆に調味料ではミリリットルや mℓ といった表記が多く、庶民的で昔ながらといった直観的なイメージと合致している。
ただし、この調味料に関しては別の要因もあるかもしれない。というのも、醤油や酢のラベルは縦書きのものが多く、縦中横を使うのが面倒・困難なためにカナの「ミリリットル」や組文字の「mℓ」*2が使われている、という推測もできるからだ。
学習指導要領の改訂(*1 参照)もあり、将来は mL 表記が増えていくかもしれない。個人的に好きなのもこの mL 表記だ。果たして mℓ はいつまで生き残っていくのだろうか。