サマースクール・亮月写植室見学会に行ってきた ―後篇
前篇のつづき。
写植室の中をあれこれ見学
写植を打ち終えたら次の方に交替し、その間に写植室にあるものをいろいろ見せていただいた。
机の引き出しにしまってあるこれは文字盤のサブプレート。これは亮月写植室にある文字盤のほんの一部で、ほかの場所にメインプレート・サブプレートともにどっさり保管されていてびっくり。
写植に関する資料も盛りだくさんで、この写真にあるのはこれまたほんの一部。書体見本帳はもちろんのこと、写植機の説明書、写研の機関紙、『文字に生きる』『組みNOW』といった有名な本に至るまで、貴重な資料が揃っている。亮月写植室に泊まり込んで徹夜で読み漁りたいレベル。
これは文字盤(メインプレート)を写植機にセットしたところ。光源に照らされた文字が緑に浮かび上がってなにこれちょうかっこいい。この文字盤の配列はちょっと特殊で、イロハ順になっている。
そんなこんなしているうちに写植が全員分打ちあがり、亮月さんは現像するために暗室へ。数分後には、A4サイズの印画紙に打った文字がくっきり綺麗に印字されていた。意外と速い。
勉強会でのお話
見学が終わった後はセラトピア土岐の会議室に戻り、勉強会。まずは亮月さんのお話から。文字への目覚めや書体との出会い、そして写植ファンとしての半生など、いろいろなエピソードを交えて熱く語られた。写植への情熱はもちろんのこと、その情熱ゆえの内なる葛藤。のほほんと文字好きをやっている私にとってはいろいろと衝撃的だった。
モリサワのHi-Fi文字盤の話など、技術的に面白そうな内容も多々あったが、いちばん印象に残ったのは亮月さんの「写植には血が通っていると思う」という言葉。
お話が終わった後は、サマースクール参加者の各自の発表。20時で一旦終了して懇親会があり、翌21日の午前も発表の続き。今回の発表のテーマは「私の仕事」ということで、ウェブデザインからDTP、印刷など、さまざまな仕事のお話を聞くことができた。今まで自分は文字関係のイベントぐらいしか出ていなかったので、文字以外の話は未知の領域。残念ながらすべては理解できなかったが、いろいろな世界を垣間見ることができた。
西尾さん (@tonybin) の発表「リアル書店の魅力」などはテーマが身近だったこともあり、とても面白く聞くことができた。本屋好きの端くれとして、興味を惹かれた箇所が多々。
自分が発表したテーマは「即席でフォントを作ってみよう」。詳細については明日のエントリにでも書きたい(→書いた。)。うまくいくかどうか不安でいろいろと緊張したが、なんとかできあがったのでまぁ良しとする。フォントのダウンロードは以下からどうぞ。
サマースクールを終えて
このサマースクールへの参加を決めたのは、実は2日前のことだった。大阪人でもないしDTP関係者でもないし……と迷っていたのだが(笑)、サマースクールから帰ってきて振り返ってみると、やっぱり参加して正解だった。今回のメインである写植室の見学も面白かったし(もっとあの場にいたかったけど!)、発表会や懇親会でのいろいろなお話も新鮮だった。
サマースクールを企画・開催してくださった大阪DTPの勉強部屋の宮地さん、亮月写植室を見学させてくださった亮月さん、そして参加者の皆さん、どうもありがとうございました。