しろもじメモランダム

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サマースクール・亮月写植室見学会に行ってきた ―前篇

6月に設立されたばかりの亮月写植室が見学できる!ということで、「大阪DTPの勉強部屋」のサマースクールに参加してきた。

亮月写植室へ行くまで

8月20日、曇り。名古屋から中央線で土岐市駅へ。よく調べずに乗ったらその列車はセントラルライナーで、乗車整理券に310円とられてしまった。イベントの参加は2年ぶりな上、「大阪DTPの勉強部屋」という未知のグループのイベント、しかも少人数ということで、一人で勝手に緊張しつつ土岐市駅に集合。その後は駅前のコメダで昼食。料理がなんかデカい。

写植室の見学は3人ずつの3グループに分かれて交替で行う。自分は第3グループだったので、セラトピア土岐の会議室にてしばらく待機。西尾さん (@tonybin) から流れてくる一連の写真(http://twitpic.com/68rjnb 以降)を見て期待に胸が膨らむ。

写植を打ってみる

以下、専門用語には亮月写植室の解説ページへのリンクが張ってあります。

そしていよいよ第3グループの順番が。雨の中、タクシーで亮月さん宅へ向かう。

写植室の扉を開けてみると、そこには2台の手動写植機が。写植機の実物を見るのはもじもじカフェ以来、人生で2度目のこと。4畳半の写植室はとても綺麗で温かみがあり、かなり居心地がよさそうなスペース。


PAVO-JV


SPICA-QD
亮月さんから写植や写植機についての説明を受けた後、PAVO-JVを自分で操作して好きな言葉を打つことに。写植機に触るのは初めて。昂揚しつつ、50QのゴナM(MNAG)で「しろもじ作業室」と印字してみた。

「5」「0」「Q」とキーを押すとうぃーんとターレットが回り、50Qのレンズがセットされる。採字するときは左手で文字枠を動かして目的の文字に合わせ、右手の印字キーを押し下げて印字+歯送り。文字枠を動かすときのするする感といい、印字キーを押し下げたときに伝わる感触といい、なかなか心地よい操作感。

ひらがなは50音配列なので「しろもじ」の採字はまだできるが、漢字は一寸ノ巾配列でお手上げ状態。隣で指導してくださっていた元写植オペレータ・大石さん (id:works014) に助けていただき、なんとか「作業室」を打ち終える。「業」が「艹」に属するとは……やっぱり配列を知っていないと拾えない。

ちなみにできあがりはこんな感じ。くっきり綺麗に印字されている。級数が大きいので、「業」の下部、「木」の交叉部分をよく見てみると、切れ込みが比較的はっきりと見て取れる。これは小さい級数で打ったときに、角が甘くなって黒くなりすぎることを防ぐ書体設計上の工夫*1

後篇につづきます。

*1:描き文字考序5/10 の最後のあたりを参照。