しろもじメモランダム

文字についてあれこれと。

『写真植字機五十年』

写真植字機五十年 (1974年)

写真植字機五十年 (1974年)

上野古書のまちで見つけて購入。700円*1、237ページ。

この本は、写植機発明50周年を記念してモリサワが出したものらしい。ただし非売品とある。モリサワの本なので、当然ながら内容は森澤信夫が中心になっている。写植機の歴史というよりも、森澤信夫(と写植)の半生を描いた伝記のような体裁。

写植に関する本はほとんど読んだことがなく*2、知らないことばかりだったのでなかなか面白かった。石井茂吉とのやりとり(それに加えていざこざも)についても触れられているので、森澤から見た石井像もなんとなく摑める。石井側(写研側)の視点で書かれた本も読んでみないと、本当のところは分からないだろうけど。

欲を言えば、もう少し図版がほしいところ。これ自体は読み物のような感じの本なので、写植機のデータをまとめた資料集的なものがほしい。写植の書体や、写植機で組んだ印刷物に対しての分析、といった感じのものを読んでみたい。

*1:Amazonマーケットプレイスでは15,825円(!)になっているが、日本の古本屋でも1000円ぐらいで売っている。

*2:というか、写植について書かれた文献自体少ない気が。