タイポグラフィの世界 第5回「フォントの舞台裏」に行ってきた ―前篇
Twitter で知ったこのイベント。
第5回セミナー フォントの舞台裏
連続セミナー「タイポグラフィの世界」
〜フォントはデザインだけじゃない、タイプエンジニアたちの舞台裏〜
フォントはどのようにして作られているのか。文字がデザインされた後の工程をエンジニアの人たちに聞いてみたい。
フォントの構造や仕組み、製作の裏話まで……、フォントを選ぶとき、使うときに、覚えておきたいホントの話。
興味を惹かれるテーマだったので、心を躍らせながら東京まで行って聴いてきた。
阿佐ヶ谷美術専門学校へ
台風の影響が心配だったものの、新幹線が5分遅れた程度で無事東京に到着。
余裕を持って早めの新幹線で来たので、会場に行く前に高円寺の古本屋・古本市を巡る。ただ時間が早すぎたのか、閉まっている店が何軒か。1年前に見つけた「庫」の略字が健在かどうか気になってサンダル文庫にも行ってみたが、こちらも閉まっていて確認できず。残念。
その後は新高円寺まで南下し、今回の会場・阿佐ヶ谷美術専門学校へ。開場時間の13:30ごろに着いたので一番前の方の席に坐ることができたが、そのうちにどんどん人が入って教室は満員に*1。こんなマニアックそう(笑)なテーマのイベントに、これだけ大勢の人が集まるとは驚いた。
1. 「フォントのからくり・基礎の基礎」狩野宏樹(イワタ)
最初は狩野さんから。OpenType フォーマットの中身がどうなっているのか、というのがお話の中心。
OpenType の構造については大まかには把握している(つもりな)ので、その復習という感じでお話を聴いた。逆にこういう話に今まで馴染みがなかった方にとっては、ちょっと難しかったんじゃなかろうか。時間が足りずに後半が割愛されてしまったのが残念。今回の資料も後で公開されるかもしれないが、とりあえずDTPの勉強会 第3回で狩野さんが発表された際のPDFが以下からダウンロードできる。
OpenType の中身を詳しく知るためには仕様書を読むのが一番良いのだろうが*2、最初から英語とかハードル高い…という人には下のような日本語の解説記事もある。
ややこしそうなバイナリのレベルにはあまり興味ないからてっとり早く知りたい、という人は、TTX*3でXMLを出力して中身を覗いてみるのが楽でいいと思う*4。自分もこれで概要を摑んだ。
2. 「フォントができるまで」安藤修(字游工房)
次は字游工房でのフォント制作のお話。字游工房では、グリフの作成から始まって OpenType フォントの生成に至るまで、フォント制作システムのIKARUSを利用して開発を行っている。
字游工房のIKARUSといって思い出したのは、以前五反田へ聴きに行った文字モジトークショー01。このときには、岡澤さんがIKARUSのエディタを使ってグリフ作成の実演をされていた。
今回のお話は、セパレート字母*5の各種チェックや陰線処理(パスの合成)、そして陰線処理後の再チェックや OpenType への変換など、グリフを作成したその後の工程についての解説だった。IKARUSのさまざまなモジュールを利用して、シェルスクリプトでバッチ処理をしているとのこと。IKARUSについてはあまり調べたことがなかったので、各工程を網羅するようなそんな総合的なシステムだったとは知らなかった。
どんな項目をチェックをしているのか、どんなチェック・処理が自動でできるのかなど、気になっていた部分をいろいろ聴けて面白かった。
後篇へ続きます。