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文字についてあれこれと。

83JISの字形について、ここまでのまとめ

とりあえずのまとめ

  • JIS X 0208-1983*1JIS X 0208:1990 の改定で、規格票の字形が変わった
    • 印刷に使われている書体が石井明朝体から平成明朝体になった
    • 字形の差は、これらの書体のデザインの違いによるものであり、大きな変更はない
  • では何文字変更されたのか?
    • JIS X 0208:1997*2 の調査によれば、225文字。
    • もちろん、どこまでを「差」と看做すかで、この数字は変わってくる
      • 「225文字」とした JIS X 0208:1997 の調査では、かなり細かいところまで区別している
  • で、何が問題なのか?
    • JIS X 0208:1997 の附属書6に「過去の規格票の字形(参考)」という欄がある
    • ここに「83JISの字形」として挙げられているものの中に、実際の83JISの規格票の字形とは異なるものがある
      • 83JISのスキャン画像を使えばいいのに、なぜかわざわざ作字してある
      • で、その作字が割といいかげん
      • で、83JISの字形を正確に反映していないものがちらほら(1割程度?)
  • というわけで、附属書6を鵜呑みにするべからず
  • 本当の83字形を調べるには
    • JIS X 0208-1983 の規格票そのものを見る
    • それが無理なら、JIS X 0208:1997 の解説*5にある「参考表 各実装字形差一覧」の「83」欄を見る
      • 附属書6と違い、ちゃんとしたスキャン画像
    • それが無理なら、ISO-IRPDFを見る
  • Adobe-Japan1 の ‘jp83’ タグ用グリフ(CID+13408–13636)では
    • ここにも、83JIS規格票字形との差異がいくつか(10文字程度)
    • ただし、差異のある箇所が附属書6とすべて一致するわけではない
    • デザインポリシーによる差(=分かっていて、あえてそのようにしている)もある

ちなみに

このブログでは、83JIS規格票字形の画像は JIS C 6226-1983 の規格票(第4刷)の附属書2(pp. 8–32)から採っている*6。「83JISでも刷によって字形が違う」なんてことは聞いたことないので大丈夫だとは思いますが……。

*1:制定時の名称は JIS C 6226-1983。

*2:JISCのサイトで規格票のPDFを閲覧することができる。

*3:日本規格協会発行なんですが……

*4:自分では未確認。あとで見てみる。JIS漢字字典については確認した

*5:JISCのサイトでは解説は閲覧できない。

*6:p. 3 の「表 図形文字用符号表」と字形・書体に違いはない。