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「週報」に掲載された(修正)標準漢字表

戦時中の1942年(昭和17年)6月17日、国語審議会が「標準漢字表」を文部大臣に答申している。この標準漢字表は、

の3つからなり、計2528字が含まれている。

この「いくつかの区分からなる漢字表」という発想は、この前の常用漢字改正の議論でも参考として採り上げられたりしていた。自分もそこで標準漢字表の存在も知ったのだが、ただそれだけだと思っていた。

が、『国語審議会─迷走の60年』という本を読んでみたら、この標準漢字表は同年12月4日に早くも修正され、常用漢字・準常用漢字・特別漢字という区分は消滅していたらしい。文字数も2669字になっている。

さて、標準漢字表は、答申を受けた文部省が修正をくわえ、一九四二年十二月四日に閣議決定をみた。その漢字表を『週報』(情報局編輯)一九四二年十二月二十三日号に掲載した際の文部省の解説では「義務教育で習得せしむべき漢字の標準」と位置づけている。その内容は、「本表は、国語審議会が、本年六月答申した標準漢字表を基礎として、さらに検討審議を加へたもので、漢字の総数二千六百六十九字」となっている。つまり国語審議会の答申にあった「準常用漢字、特別漢字」という区別をなくし、すべてを「標準漢字」として、さらに字数を増やし、実質的には漢字制限を緩和している。

安田敏朗『国語審議会─迷走の60年』講談社、2007年、p. 34


その後たまたま上記の『週報』1942年12月23日号(324号)が手に入ったので、関連ページを抜粋してPDFにしてみた。文部省の解説も「標準漢字表について」という題で1ページついている。興味のある方は以下のページからどうぞ。