しろもじメモランダム

文字についてあれこれと。

蒼頡の伝説

又た一説に、蒼帝は史皇氏で其名を頡といつた、頡は龍のやうな顔で、大きな口、四つの眼があつて霊光かゞやき、睿徳あつて生れながら書を能くし、河図緑字を受くるに及んで、天地の変を窮め、仰いで奎星円曲の姿を、俯して亀文鳥羽山川を察して文字を創製した、そこで天は粟を雨(ふら)せ、鬼は夜哭し、龍は潜み蔵れてしまつた、蒼帝は陽武に都してゐたが、御代は百十一歳で終つた。(龍顔四目の人などいふのは明白に神話的である。)

渋川玄耳『文字及書道』中文館、1933年、pp. 23, 24

蒼頡は自分で「文字を創製した」のにもかかわらず、なんと「生れながら書を能くし」たらしい。

「先頭打者満塁ホームランを頻発」して「先頭打者サイクルヒットも日常茶飯」なイチローと、どこか相通ずるものが。やっぱ伝説の人ってのは違いますね。常人じゃ理解が及ばない。

文字及書道 (1933年)

文字及書道 (1933年)