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文字についてあれこれと。

二号明朝活字書体見本(明治26年)

TL;DR

東京築地活版製造所『二号明朝活字書体見本』(明治26年/1893年)の画像を Flickr で公開しました。

二号明朝活字書体見本

PDF 版がほしい方は下のページから。

いきさつ

先月末、Twitter でこんなやりとりをしていました。

この『二号明朝活字書体見本 全』というのは、2年半ほど前にたまたま運良く入手した活字見本帳です。自分の本棚に古い見本帳があるというのは、もちろん飛び上がるほど嬉しいわけですが、それをそのまましまっておくのもどうももったいない。どうせなら、文字に興味を持ったいろいろな人に見てもらいたい*1。……などということを以前から考えていました。

そんな中でこのやりとりがあり、チャンスだと思って(ずうずうしくも)撮影をお願いしてみました。この内田(@uakira2)さんは以前、築地五号の見本帳のスキャンや、『光をかかぐる人々』の撮影をされています。ありがたいことに、今回快く撮影を引き受けてくださり、こうして『二号明朝活字書体見本 全』の画像を公開することができました。下の Filckr アルバムで全ページ閲覧できますので、どうぞご覧ください。表紙を含めて画像は88枚あります。

二号明朝活字書体見本

いつものように PDF 版も用意してあります。

見本帳概観

二号明朝活字書体見本_16

この見本帳の8割以上は、漢字のページで占められています。字種数はまだ数えていませんが、総数見本帳だけあってさまざまな字種が載っています。その分、整ったデザインの活字(頻出する漢字)から、その場しのぎっぽいバランス悪い活字(あまり出てこない漢字)まで、クオリティもさまざまです。

二号明朝活字書体見本_76

部首順に並んだ漢字が終わると、次は分合活字(この見本帳では「分合文字」とよぶ)のページに移ります。横幅が1/3, 2/3の2種類の活字があり、この両者を偏旁として組み合わせ、漢字1字を組み立てるようになっています。

二号明朝活字書体見本_81

その次はかな類が続きます。カタカナ・ひらがなともに、非常に洗練された細身のデザインです。上のツイートにあるように、自分の Twitter のヘッダ画像にはこのひらがな部分の写真を使っていますが、プロフィールページを開くたびについつい見とれてしまいます。

あとは記号類が少し並んで終わりです。全84ページ。奥付は以下のようになっています。

明治廿六年六月六日印刷
明治廿六年六月十日出版

   日本東京市京橋區築地二丁目拾七番地
     印刷者  曲田 成
     印刷所  東京築地活版製造所

というわけで、どうぞご活用ください。

*1:というかそもそも自分自身、ほかの人が持っている見本帳をいろいろ見たくてしょうがなかった