OpenType の仕様策定の議論をのぞくには
OpenType は1997年に Microsoft と Adobe が策定したフォントフォーマットで、現在のデファクトスタンダードになっています*1。仕様は Microsoft のサイトで公開されており、興味があればだれでもすぐに読むことができます。
この OpenType の仕様はときたま改定されており、今のところは2015年3月に発表された v1.7 が最新バーションです。
ところで、この仕様の改定はどこで議論されているんでしょう? UCS/Unicode や各種 Web 標準などは策定プロセスがオープンになっていますが、OpenType の仕様はどこで議論が進んでいるのか、ぱっと見ただけではよくわかりません。日本語の情報もほとんど見つかりません。というわけで、この記事でその一端を紹介したいと思います。
OpenType メーリングリスト
実は、Microsoft のサイトにこのメーリングリスト(ML)の案内がちゃんと載っています。
An e-mail based discussion forum has been set up specifically to help people working on the development of OpenType fonts and associated technologies.
- To subscribe to the OpenType Mailing List, send e-mail to: subscribe-opentype@indx.co.uk
- To remove yourself from this mailing list, send e-mail to: unsubscribe-opentype@indx.co.uk
載っているのですが、indx.co.uk
という馴染みのないドメインだったり、登録前に ML のアーカイブが見れなかったり、ページのフッタに This page was last updated 9 August 2004.
と書いてあったりと、登録に躊躇してしまう要素が満載です。
が、これでも現役でちゃんと生きている公式 ML です。to help people working on the development of OpenType fonts and associated technologies
と書かれていてスコープが少しぼんやりとしていますが、OpenType の仕様に関する話題が現在中心になっています。
この ML へ登録するためには、subscribe-opentype@indx.co.uk にメールを送ります*2。このとき空メールではだめで、メールの本文が必要です。自己紹介や「登録したいんだけど」みたいなことを1, 2文書いておけば大丈夫なはずです。ML 管理者の承認が降りれば、数日後に通知のメールが来ますので、これで登録完了です。過去のアーカイブは、ML 登録完了後にこのページからたどれます。ただしシステムが古いようで、使い勝手は残念な感じです。
なお、この ML から配信されるメールは、件名の頭に [OpenType]
がついています。
mpeg-OTspec メーリングリスト
世の中には ISO/IEC 14496-22 Open Font Format (OFF) という規格があります。といっても OpenType と中身は同じ…というか、OpenType をそのまま公的な国際規格にしたのがこの OFF です。デジュール標準というやつです。ISO が規格票を無料で公開しており、以下のページからPDFのダウンロードが可能です。ちなみに、ISO/IEC 14496-22:2015 が OpenType v1.7 に対応します。
そして、この規格について議論するための ML が米 Yahoo! Groups に用意されています。これが mpeg-OTspec ML です。
こちらの ML は mpeg-otspec-subscribe@yahoogroups.com に空メールを送信するだけですぐに参加できるので、OpenType ML と比べるととっつきやすいかもしれません。過去のアーカイブや添付ファイルの閲覧には米 Yahoo! のアカウントが必要になりますので、アカウントを持っていなければ作っておきましょう。
なお、この ML から配信されるメールは、件名の頭に [mpeg-OTspec]
がついています。
ちなみに、mpeg-OTspec ML の近年の流量は以下のとおりで、話題があるときとないときでムラがあります。これは OpenType ML の方も同様です。
また、両 ML 間では転送やクロスポストが多く、両方とも登録していると若干カオスです。
おまけ
最後におまけとして、以下のリポジトリを紹介しておきます。位置づけがまだよくわかりませんが、OpenType レイアウトに関する追加仕様のドラフトのようです。