しろもじメモランダム

文字についてあれこれと。

中国のフォント共同制作プロジェクト「文泉驿」

日本の GlyphWiki では、KAGE システムを利用して明朝体のグリフが作成できるようになっている。

エディタが Flash なのでブラウザから(誰でもすぐに)編集でき、わりと手軽。TrueType フォントの生成までできる。

これとは若干性格が違うが、中国にも「みんなで協力してフォントを作ろう」というプロジェクト『文泉驿』があるらしい*1。こちらはゴシック体。

作成方法の解説動画を見てみると、なかなかおもしろい。字形がビットマップ画像で背景に表示されていて、その上に制御点を置いていく。制御点の個数によって右に表示されている筆画が絞られ、その中から合ったものを選択して1画分のできあがり。筆順に従ってこれを繰り返していき(部品を使うこともできる)、漢字を完成させる。ここで実際に触ってみると手っ取り早い。

このフォントは「文泉驿正黑体」という名前で配布されている。

文泉驿正鄢体是一个"自由字体"。该字体包含了所有常用简体中文、繁体中文所需要的汉字(最新版本包含超过20924个汉字,完整覆盖GB2312/Big5以及GBK标准字符集)。该字体同时还包含了日文、韩文和其他几十种语言符号。除此以外,该字体还嵌入了最新版本的文泉驿点阵宋体的中英文点阵,使得屏幕汉字显示清晰锐利,易于阅读。

この TrueType フォントには、12, 13, 15, 16 px 用のビットマップ(文泉驿点阵宋体*2)も含まれている。ライセンスは GPL のバージョン2。ただし、フォントの埋め込みに関しては例外が適用されるとのこと。

id:mandel59 さんが 文字のバランスはあまりよくない。手書きのようにも感じる と評しているように、デザインが若干いびつ。「普通の人が看板に手書きしたゴシック体」のようなイメージ。字形は中国風のデザインなので、日本語には向いていない。一応「自由な書体」と謳われてはいるものの、かなの字形が石井某に酷似しているので、本当に自由かどうかはかなり怪しい。というか黒。現状では使うべきではないだろう。

*1:via: 自由書体集 (M59のサイト)id:mandel59 さん

*2:宋体(=明朝体)といってもウロコがついておらず、縦画/横画の太さの差もない。