調和体の「読みやすさ」
昨日行ってきた日展の、書の作品について雑記。撮影禁止だったので、残念ながら画像はない。
調和体(漢字かな交じり文)の作品の一つに、ルビを振ってあるものがあった。振られているのは読みの難しい漢字のみで、普通の書籍などと同じく、漢字の右側に小さく書かれていた。自分自身、書の作品はそれほど多く見ている訳ではないが、こういうものは珍しいように思う。書は読めなくたっていいんだ、読めるかどうかは関係がない、という人もいるが、この作品の場合はやはり、読んでもらうためにルビを振ったのだろうか。
それとは別の調和体の作品で、文字を縦横に揃えて並べたものがあった。楷書や隷書の漢字の作品ではこのようにマス目に沿った作品も多いが、調和体で横を揃えることは少ないように思う。崩し方が少なかったということもあるが、かなの字形も正方形に近く、かなり読みやすいものだった。印刷された文字からの影響をつい考えてしまう。
サークルのOBの方が以前、「筆文字は、印刷された文字より読みやすいものが書けるはずなのに、今の書の作品にはそういうものが殆どない」と言っていたのを思い出した。それが良いか悪いかは別として。