しろもじメモランダム

文字についてあれこれと。

中文の古本を眺める(5)『標準電碼本』

しばらく間が空いたけど、5冊目。

人民郵電出版社の中華人民共和国郵電部編『標準電碼本(修訂本)』。1983年発行、定価0.60元。201ページ。この「電碼」とは、電報で中文をやりとりするための文字コードのこと。個々の漢字を4桁の数字*1に対応させている。詳しくは Wikipedia の記事を参照。

wikipedia:電碼


上の画像は、前半(上編)の電碼表。電碼順に漢字が並んでいる。本来は《電碼順=部首順(同一部首の中では画数順)》となっていたのだが、1981年の修訂で追加・削除・字体変更(繁体→簡体)が行われたため、綺麗な並びにはなっていない。歯抜けもある。

例えば、左ページの上中央にある「(2514, DSS)」。最初に制定されたときは「時」で日部6画だったので、「…晁時晃…」とこの位置に入れられていた。簡体では「」となって画数が変わるが、修訂では字形を入れ替えただけで位置は変えなかったため、日部6画の中に3画の「」が交じっている。

同じ行の左端には「(7359, KXB)」がある。元の字は「顯」で頁部14画だったのが、簡体では「」(日部6画)となって部首が変わってしまった。しかし、「」と同じように字形を入れ替えただけで位置はそのままなので、「」を引こうとして日部の中を探したとしても、このままでは見つけることができない*2。これを避けるために、部首の変わった漢字は(変わった後の部首・画数の)周囲のマス*3に載せてある。

けどいくら工夫したって画数はアテにならんし、正直言って使いにくいよね、ということで、修訂本では後半(下編)にピンイン順の電碼表がついている。

ピンインのアルファベット順に並べられ、その中で①②③④(第1〜4声および軽声)の声調別に分かれている。ただ、こちらは英字3桁の符号が併記されていない。小さい活字で印刷されているのは繁体字で、対応する簡体字の後に並んでいる。

*1:および3桁のアルファベット。

*2:逆に、頁部14画には日部6画の「」が現れる。

*3:左ページなら左端、右ページなら右端、スペースがなかったら最上段のマス。