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文字についてあれこれと。

『変体少女文字の研究』

変体少女文字の研究―文字の向うに少女が見える

変体少女文字の研究―文字の向うに少女が見える

シャーペン禁止令のエントリを書いているときに本書を知ったのだが、古本屋でちょうど見つけたので早速買って読んだ。230ページ。「変体少女文字」とは要するにいわゆる丸文字のことで、この変体少女文字がいつどのようにしてできたのか、というのが本書のメインテーマになっている。「研究」といっても平易な文章でドキュメンタリーのように書かれており、文章量もそれほど多くはないのでスラスラと読める。

メインの変体少女文字の起源を巡る話も面白いのだが、個人的には「大人が変体少女文字をどのように受けとめているか」というような内容が興味深かった。新奇なものをなかなか受容しない、あるいは逆に排除しようとする、といった傾向は、いつの時代でも変わらないようだ。最近の少女は何でもかんでも「かわいい」というから云々、という話が終章にあるが、驚くべきことに20年経った今でも全く状況は変わっていない。

ただ同じ大人でも、学校と企業とでは変体少女文字への対応に違いが見られる。本書に挙げられた例を見てみると、教育現場では変体少女文字に制裁を課し、排除しようとする傾向が強いことが分かる。その最も先鋭的な例の一つが神戸市立舞子中学校の対応で、変体少女文字を「文字の乱れ、即生活の乱れ」と解釈して厳しく対応する。一方、一般企業の中では「公私をわきまえて使い分けができていれば良い」といった程度の対応が多い。

学校側の対応は、「公私の区別が子供はまだ十分にできない」ということも考慮しての対応だとは思うが、子供にとってみればまさに「大人はわかってくれない」だったのでは……と思ってしまう。私は世代がカスりもしないのでよく分からないが、実際はどのような状況だったのだろうか。

ところで。「ヘンタイガナ」は「変体がな」であってどうやっても「変態がな」とは間違えないけど、「ヘンタイショウジョモジ」って聞くと一瞬「変態少女文字」かと(ry

……え? 普通は思わない? お前が変態なだけだろ、って?