しろもじメモランダム

文字についてあれこれと。

「束束」と書いて「いばら」と読む

先日のこの記事に、id:n-yuji さんからこのようなコメントをいただいた。

昔、自分の姓を「束束」と書いて「いばら」と読むのだと頑強に主張する人がおりまして、ぜってーただの誤字だろーがと思いながらも作字させられたことを思い出しましたよ。

レバ剌とユッケ剌 - しろもじメモランダム

u235e5

このコメントを読んだときに、自分も「ぜってーただの誤字だろーが」と思ったわけです。「棘」はどう考えても「朿朿」であって、決して「束束」などではない、と。

が、しかし。ちょっとこれを見てほしい。
*1

いろいろな字体で書かれているが、あの「束束」もある。

さらにこちらの拓本データベースでは、なんと「朿朿」よりも「束束」の例の方が多かったりする。

というわけで、「束束」は昔からある異体字だったようです。

ちなみに「束束」は U+235E5戸籍統一文字の番号は 173750 で親字は「棘」、読みは「キョク、コキ、いばら、とげ」となっている。

*1:『五体字鑑』 p. 381 より