しろもじメモランダム

文字についてあれこれと。

準と凖

一昨日の記事でとりあげた、松邑三松堂のチラシの裏*1(→拡大)。

右から2行目「書方敎授用掛圖」の上に、ひと回り小さい文字がある。

よく見てみると、「國定據」ではなく「國定據」。

を手許の漢和辞典で引いてみたが、の俗字 と書かれていただけだった。このという漢字、当時どれぐらい使われていたのかは知らないが、現在ではほとんど目にしない。ただ、ググってみると意外と混用されている。

準 凖 -異体字 - Google 検索*2

ネット上でここまで多く(誤って)使われている理由は、こんなところだろうか。

  • 「准」からの類推?*3
  • 「【丶】が1個か2個か」という細かな違いだけだけなので、誤りに気づきにくい。
  • 「準」には「凖」という紛らわしい異体字があるから気をつけよう、というようなことはそもそも意識されていないのでは?*4
  • しかし「凖」は JIS の第2水準に入っているので、PC でも携帯でも普通に入力・表示ができる。
  • さらに「準」は接頭辞として使われることが多いため、「じゅん」の単漢字変換となりやすい。熟語の変換であれば「準」が「凖」となることはない*5が、単漢字変換では「凖」も候補として出てくる。

ちなみに、ネット上の日刊スポーツの記事(2006年2月1日)でも混用されている。

強姦の大阪市職員を懲戒免職

……出会い系サイトで知り合った女性への強姦(ごうかん)などの罪で……

……技術員らは同年10月に大阪府警に逮捕され、集団強姦未遂などの罪で起訴された。……

準強姦の大阪市職員を懲戒免職 - nikkansports.com > 社会ニュース

となると、日刊スポーツ本紙でも混用されていたのだろうか。

*1:本当はどっちが表でどっちが裏なのか知らないけど、まぁ便宜的に。

*2:異体字のリストなどが引っかかるため、“異体字” という語を含むものは除外。

*3:でも「準」と比較すると「准」はかなりマイナーな存在なので、「准→淮」はあっても「準→凖」はあまり起こらないような気がする。

*4:普通であれば「凖」はほとんど使われないので、存在自体を知らない人が多いのではないかと。

*5:例えば「ひょうじゅん」で変換したときに候補として出てくるのは「標準」だけであり、「標凖」は出てこない。