「TTXによるフォントのぞき基礎」の資料【5/4更新:スライド公開】
5月3日の勉強会で発表する「TTXによるフォントのぞき基礎」の資料です。
スライド
勉強会終了後に公開する予定です。→ 公開しました。(2013-05-04)
勉強会のスライドを少々手直ししてアップロードしました。スペースキーを押すと進みます。Esc キーで俯瞰になります(が、うちのPCでは動作が重いです)。今回は初めて reveal.js というフレームワークを使って作成してみました。Firefox で表示確認をしています。
TTXをインストールする
参加者向けファイル
ノートPC持参で参加される方は、以下の2つのファイルをダウンロード・展開しておいてください。(一応、これらのファイルを入れたUSBメモリをわたしの方で用意しておきます。)
サンプル用フォントファイル
IPA明朝 と Source Sans Pro の一部をそのまま再配布しているだけです。
OpenType Specification
"Download full specification" から ZIP がダウンロードできます。
TTXのインストール方法
TTXは、TTX/FontTools に含まれているコマンドラインツールです。この TTX/FontTools は SourceForge で公開されており、2013年4月現在 v2.3 が最新のバージョンです。
この記事では、TTXのインストール方法を次の3通りに分けて紹介します。
一長一短ありますが、とりあえず A が無難なような気がします。もっとうまいやり方があるようでしたら、ぜひご教示ください :)
A. AFDKOでまとめてインストールする
AFDKO (Adobe Font Development Kit for OpenType; 通称あふでこ) は Adobe が提供しているフォント開発用のツール群で、業界で広く使われているようです。Windows と Mac に対応しています*1。
TTXはこの中に収録されているため、AFDKOをインストールすればTTXが使えるようになります。AFDKOにはいろいろなツールが入っていますし、とりあえずインストールしておいて損はないでしょう*2。手間もあまりかかりません。
インストール方法
- このページの License Agreement を読み、内容に同意します。
- ページ下部のリンクからZIPをダウンロードします。Windows 版は FDK-25-WIN.zip、Mac 版は FDK-25-MAC.zipです。
- ダウンロードしたZIPを展開します。
- 展開してできた FDK/Read_Me_First.html を開き、
2. AFDKO Installation Guide
の指示に従ってインストールします。指示の内容を大雑把に要約すると以下のとおりです。- FDKフォルダを好きな場所に移動する
- コマンドプロンプトやターミナルから FDK/FinishInstallWindows.cmd あるいは FDK/FinishInstallOSX を実行する
- (
For installing the AFDKO FontLab macros
の部分は今回は関係ありません)
これでインストール完了です。ちなみにAFDKOの現在のバージョンは v2.5 Feb 26 2013 change number 60418 で、これをインストールすると TTX v2.3 が入ります。
B. TTXを直接インストールする
Windows の場合
インストーラなどで普通に単独インストールできれば楽なのですが、残念なことに公式からは v2.0b1(2002年リリース)のものしか配布されていません。
Typophile の TTX 2.3 installer? というスレッドにいろいろと情報が載っていますが、その中で v2.3 のZIPへのリンクが投稿されています。このZIPを好きな場所に展開し、環境変数PATHにそのディレクトリを追加すれば完了です。
その他 Linux など
ディストリビューションによってはパッケージが提供されています。例えば Ubuntu であれば
$ sudo apt-get install fonttools
で最新の v2.3 をインストールすることができます。
C. setup.py でインストールする
これが本来のインストール方法ですが、この方法はちょっと面倒な気がします。前提として、Python 2 と NumPy をインストールしておく必要があります。
TTX/FontTools の配布ページから fonttools-2.3.tar.gz をダウンロードし、展開します。そして fonttools-2.3 ディレクトリの中に入り、
$ (sudo) python setup.py install
などとすれば良いようです。
このあと Windows の場合、
@echo off python C:\Python27\Scripts\ttx %*
のような内容のファイルを ttx.bat という名前で作成し、これをパスの通った場所に入れておけばOKです。
また、Mac では
$ defaults write com.apple.versioner.python Prefer-32-Bit -bool yes
と設定する必要があるかもしれません*3。
以上、インストール方法を3通りに分けて紹介しました。てきとうなフォントファイル hoge.ttf*4 に対して
$ ttx hoge.ttf
としたときに hoge.ttx が生成されるようであれば、TTXは正常にインストールされています。
TTXの使い方については、5月3日の勉強会で紹介する予定です。
2013-05-04 追記:勉強会で使ったスライドをアップロードしました。
*1:Linux などに対応する可能性が無いわけではないようですが、残念ながら今のところリリースされていません。
*2:といいつつわたしはそれほど活用できていませんが……
*3:http://forum.fontlab.com/index.php?topic=7305.0
*4:和文フォントなど、ファイルサイズが大きいものだとちょっと時間がかかります。なお、.otf でもかまいません。
5月3日にフォント関係の勉強会やります
2013-05-06 追記:今回の関連ツイートをまとめました。
読者・フォロワー各位:
突然ですが、5月3日にちょっとした勉強会をやってみようかと思います。
日時
5月3日(金・祝) 13:00〜17:00
内容
1. TTXによるフォントのぞき基礎
TTXの使い方を紹介し、OpenType の基本的な部分を簡単に説明します。「TTX使ったことない」「OpenType の中身に興味はあるけどどこから手をつけていいのかよく分からん」というような初心者を主なターゲットにします。30分程度?
下記補足も参照してください。
申し込み方法
タイトルを「5/3参加希望」として、mashabow<あっと>shiromoji.net へメールをお送りください。定員は10人弱で、先着順です。前日(5月2日)の20時に一旦締め切ります。
申し込みメールには、遅くとも翌日にはこちらから返信をします。万一返信のない場合には、お手数ですがお問い合わせください。
問い合わせ先
- Twitter: @mashabow
- メール: mashabow<あっと>shiromoji.net
補足:TTXによるフォントのぞき基礎 について
このあたり、興味ない方にとっては非常につまらない内容だと思うので、そういう場合は気にせず「ヘルベチカ〜」だけご参加ください。
参加される方は、TTXをインストールしたノートPCの持参をおすすめします。インストール方法については、下の記事にまとめてみました。
なお、残念ながら会場には有線/無線LANの設備はありません。
2013-05-04 追記:発表に使ったスライドを公開しました。
というわけで、参加お待ちしています。
以前から「若い人が主体になって文字関係のゆるい勉強会みたいなのできないかなー」と考えてい(ながら行動に移していなかっ)たんですが、今回はそのお試し版みたいな位置づけになります。気軽に顔を出してもらえれば幸いです。
PingMag復刊らしいのでアーカイブから文字関係の記事を10本ほど
2008年いっぱいで休刊となっていた PingMag が復活したようです。
おぉ、なつかしーと思って過去記事をちょっと漁っていたんですが、せっかくなのでここに文字関係の記事を10本ピックアップしておきます。
- 書き文字
- 小林 章:タイポグラフィーの境界を超えて
- グラフィティ・ライターによるグラフィティ・フォント
- クリーニング屋さんのタイポグラフィー
- バリの手描きタイポグラフィー
- イラニアン・タイポグラフィーの今
- 文字の達人、大日本タイポ組合
- ガムテープの道案内
- VEBタイポアート:東ドイツの活字鋳造所
- 伝統を切り開いた文志流江戸文字
昔の記事ということで画像が粗かったりするのは残念ですが、おもしろい記事がいろいろとあります。文字以外にも。おすすめ。
「Windows 8 で変わる文字 - 異体字と Unicode IVS」雑感
目新しい情報はあまりなかったが、イベントレポート書いて的な圧力を Twitter 上で受けてしまったので、ここに雑感を書いてお茶を濁したいと思う。
今回の内容は
という感じだった。幅広い内容をたったの2時間で扱わなければならないので、どうしてもざっくりになってしまう。ある程度の基礎知識がある人であれば、「あーそうだったよね」と自分の頭の中を整理しつつ、まとめ・おさらい的な感覚で聞けると思うが、逆にまったくの初心者がこの2時間だけで理解するのは難しいと思う。文字コードマニヤ(笑)な人は「ここの説明が不十分」とか「これはこう説明した方が…」とかツッコみながら聞いていたのかもしれない。
個人的に興味があったのは、MS-DOS/Windows はこれまでどのように対応してきたかという点。Shift JIS の誕生からIVS対応まで、今回のセミナーでも各所で触れられていた。ただ、そのまわり(+裏?)には語り尽くせないぐらいのいろいろなエピソードがあると思うので、そのへんを何かの機会にまとめて教えてくれたらおもしろいんだけどなー、と感じる。
Window 8 上のIMEにおけるIVS対応については、Consumer Preview 版のときと同じくデフォルトではオフ(IVS入りの候補は出てこない)になっている。「頻繁に使用される名前、地名はIVSを含む単語としてIMEの辞書に搭載」*1してあるとのことで、設定をオン*2にして、例えば「くず」を変換すると、
- 葛 [U+845B]:Windows Vista 以降のフォントではJIS2004字形
- 葛󠄀 [U+845B U+E0100]:Adobe-Japan1 コレクション収録のJIS90字形
の両方が候補に出てくる。完璧を期すのであれば、これに加えてJIS2004字形を明示的に指定する
も候補に出してほしいところだが、MS-IMEの辞書ではそうはなっていない。
ちなみに、「いばら」を変換すると
- 茨 [U+8328]
- 茨󠄀 [U+8328 U+E0100]*3
の両者が出てくるが、「いばらき」では
- 茨城 [U+8328 U+57CE]
だけであって、IVSを使ったJIS90字形の
- 茨󠄀城 [U+8328 U+E0100 U+57CE]
は出てこない。これについては、「茨城県などはJIS2004字形を使っているので、JIS90字形は辞書に入れていない」という、わかるようなわからないような説明があった。
IVS/IVDのコレクションの違いについてほとんど触れられておらず、これはどうなんだろう…という感もある。ただ普通のアプリケーションにとってみれば、Adobe-Japan1 であれ Hanyo-Denshi であれ、どちらもIVSとしての扱い方に差はないので、ここらへんのややこしい話にあまり深入りする必要はないかもしれない。
なお、『Unicode IVS/IVD入門』という本が先日発売されたが、今日の講師の方は「届いたばかりでまだ詳しく読んでいない」とおっしゃっていた。
- 作者: 田丸健三郎,小林龍生
- 出版社/メーカー: 日経BP社
- 発売日: 2013/02/28
- メディア: 単行本
- 購入: 1人 クリック: 20回
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セミナー後は、小形さんはじめ文字に詳しそうなみなさんと昼食をご一緒させていただいた。そこでのお話(IVSとは関係ない)も非常におもしろかったので、このあたりの内容、まとめて本なり何なりにならないかな…と思う。
そんな一日でした。レポートおわり。
フォントファイルをFontForgeのアイコンにドラッグ&ドロップして開きたい
Ubuntu で FontForge をぼちぼち使うので、自分は Unity のランチャー*1に FontForge のショートカットも登録している。フォントファイルをここにドラッグ&ドロップすれば、FontForge でそのファイルを開くことができる……と便利なのだが、なぜか FontForge のショートカットはそうはなっておらず、知らんぷりして「フォントを開く」ダイアログが出てくるだけになっている。
最近たびたびこのドラッグ&ドロップをやってしまって残念な気持ちになっていたので、これに対処する。ショートカットアイコンの実体は /usr/share/applications/fontforge.desktop なので、これを ~/.local/share/applications/*2 にコピーしていじればいいらしい。
$ cd ~/.local/share/applications/ $ cp /usr/share/applications/fontforge.desktop .
コピーした fontforge.desktop をエディタで開いてみると、11行目が
Exec=fontforge
となっているので、末尾に %F(ドロップされた全ファイルのパスに展開される)をつけて
Exec=fontforge %F
として保存。
$ chmod +x fontforge.desktop
とすると、Nautilus での表示が下のような FontForge のアイコンになる。
これをランチャーにドラッグ&ドロップして追加すれば完了*3。
新しくランチャーに登録したアイコンへフォントファイルをドラッグ&ドロップすれば、ちゃんと FontForge で開けるようになる。複数のファイルをまとめてドラッグ&ドロップしても、これまたちゃんとすべて開いてくれる。
米O'Reillyで買ったPDF本をkobo gloでも読めるように加工する
米 O'Reilly のアカウントを作って手持ちの紙本(同社から出ている英語版に限る)を登録すると、その電子書籍版が$4.99/冊で買えるらしい。自宅には CJKV Information Processing(第2版)と Fonts & Encodings があり、どちらもいろいろと役に立っているが、さすがにこれを持ち運ぼうと思うとつらい。
というわけで電子書籍版をさっそく買ってしまった。タイトルによっては eBub や mobi フォーマットも選択できるようだが、この2冊はPDF版のみ。残念ながら errata は反映されていない様子。
余白の除去
このPDFは版面の上下左右に余白が大きく取られているため、これをそのまま電子書籍端末で読もうとしても読みづらい。ググってみたところ、PDF内部の CropBox の値を書き換えて余白を除去する方法があった。
このページのスクリプトにすこし手を加え、次のようにしてみた。