花園明朝OTを0.510に更新、IVD 2012-03-02版に対応
Adobe-Japan1-6 準拠の漢字フォント・花園明朝OTを ver. 0.510 に更新。
以下、主な変更点について解説。
IVD 2012-03-02 版に対応
今月2日にIVD(Ideographic Variation Database)の最新版が公開され、Adobe-Japan1 に32個、Hanyo-Denshi*1 に8,850個のIVSが追加された。この追加により、Adobe-Japan1-6 に含まれる14,664個の漢字グリフすべてがIVSでアクセスできるようになった。花園明朝OTは今回これに対応。
Adobe-Japan1 コレクションに追加されたIVSについては、以下のページに詳しい。
CMap を UniJIS2004-UTF32-H ver. 1.011 に更新
文字コードとグリフ(CID)との対応表である CMap を、最新バージョンの1.011に更新した。1.010からの変更点は以下の通り。
- U+9FCC(鿌)→ CID+20156 の対応が追加された
- U+2329, 232A(〈, 〉)→ CID+682, 683 の対応が追加された
花園明朝OTは漢字フォントなので、関係するのは前者のみ。U+9FCC(鿌)は1月31日リリースの Unicode 6.1.0 で追加された統合漢字。
スペースのグリフを少し追加
CID+1(欧文スペース), CID+3000(和文スペース), CID+8720(CID+1 の vrt2 置換先グリフ)を追加した。CID+1, CID+8720 の文字幅はとりあえず半角として実装した。CID+8720 を追加した理由は次の項で。
Firefox において Web フォントに使用できない問題を解消
Firefox で花園明朝OTを Web フォントとして使おうとしても、ファイルのダウンロード自体は行われるものの花園明朝OTで描画されない問題があった。
これについて、上の記事のコメントでえむけいさんから次のような情報をいただいた(ありがとうございます)。
Windowsでは、CFFアウトラインのOpenTypeフォントのGSUBテーブルにvrt2 featureが定義されていないのにvhea/vmtxテーブルがあると、OSに不正なフォントして弾かれます。インストールすれば使えるようですが、WebフォントをロードするためのAPIはWebから任意のデータを受け取る可能性があって、フォントレンダリングエンジンの脆弱性も実際に何度か発見されているので、チェックが厳しくなっているようです。
花園明朝OTが web font で使えないっぽい - しろもじメモランダム
縦書きグリフを追加するか、vhea/vmtxテーブルを削除してください。
このアドバイスに従い、縦書きグリフ CID+8720 を追加して以下のように vrt2 feature を定義した。
feature vrt2 { sub \1 by \8720; } vrt2;
これにより、Firefox での問題は解消されたようだ。縦書きグリフを追加するのではなく vhea/vmtx テーブルを削除する方法もあるが、これを試したところ Microsoft Word で縦書きができなくなった(花園明朝OTを指定してもMS明朝で描画される)ので採らなかった。
なお、上の記事では「Chrome で試したら『エラー このページの表示中に問題が発生しました』云々と出てページすら表示されなかった」と書いたが、こちらについては Chrome のアップデートの過程で解消されていた様子。
*1:こちらは花園明朝OTには収録していない。