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しろもじメモランダム

文字についてあれこれと。

VIPにおけるSS内の空行と携帯電話

文章による創作の1ジャンルに、SS*1と呼ばれるものがある。SSはさまざまな場所で発表されており、その形式も多様だが、2chのVIPでは現在以下のような形式が主流になっている。

例文は “櫻子「向日葵! 勝負だ勝負だ勝負しろー!」” の>>52から採った。

櫻子「ほら、今年ってずっと寒かったじゃん? だからさー」

向日葵「だからって……この季節にコタツとか、見てるだけで暑くなりますわ……」

櫻子「うん、だから今年の夏はわざわざ向日葵んちに通ってたの」

向日葵「やたら私の部屋に入り浸ってたのはそういう理由でしたの!?」

櫻子「うむ!」エヘン

向日葵「な、なんという不精者……こんなことならもう少しマメに様子を見に来るべきでしたわ……」

櫻子「そーだそーだ。櫻子ちゃんのカントクふゆきとどきだぞー向日葵ー」

向日葵「」イラッ 

すなわち、台詞をベースにした

人物名「発言内容」(擬音語/擬態語)
〈空行〉
人物名「発言内容」(擬音語/擬態語)
〈空行〉
人物名「発言内容」(擬音語/擬態語)
:

という形式である。

しかし以前のVIPでは、

櫻子「ほら、今年ってずっと寒かったじゃん? だからさー」
向日葵「だからって……この季節にコタツとか、見てるだけで暑くなりますわ……」
櫻子「うん、だから今年の夏はわざわざ向日葵んちに通ってたの」
向日葵「やたら私の部屋に入り浸ってたのはそういう理由でしたの!?」
櫻子「うむ!」エヘン
向日葵「な、なんという不精者……こんなことならもう少しマメに様子を見に来るべきでしたわ……」
櫻子「そーだそーだ。櫻子ちゃんのカントクふゆきとどきだぞー向日葵ー」
向日葵「」イラッ 

のように、台詞間には空行を入れないことが多かった。

空行ありの形式と空行なしの形式を比較しても、可読性はそこまで変わらない。むしろ、空行ありの形式ではスクロール量が2倍になるため、煩わしく感じる人もいるだろう。しかし現在では空行ありの形式の方が圧倒的に好まれており、仮に空行なしの形式でSSを投稿したとしても、大抵の場合「改行しろ」「間に改行入れてくれ」と文句がつく。これはなぜだろうか。

その理由の一つに、VIPにおける携帯ユーザー*2のシェア拡大があるのではないかと思う。巷でいわれているように、携帯を利用してVIPにアクセスするユーザーの割合はここ数年で大きく上昇している。携帯からこれらのSSを閲覧した場合、どのように見えるだろうか。

例として1行20字詰めの携帯画面を想定すると、空行ありの形式では

櫻子「ほら、今年ってずっと寒かったじゃん
? だからさー」

向日葵「だからって……この季節にコタツと
か、見てるだけで暑くなりますわ……」

櫻子「うん、だから今年の夏はわざわざ向日
葵んちに通ってたの」

向日葵「やたら私の部屋に入り浸ってたのは
そういう理由でしたの!?」

櫻子「うむ!」エヘン

向日葵「な、なんという不精者……こんなこ
とならもう少しマメに様子を見に来るべきで
したわ……」

櫻子「そーだそーだ。櫻子ちゃんのカントク
ふゆきとどきだぞー向日葵ー」

向日葵「」イラッ 

となり、逆に空行なしの形式では

櫻子「ほら、今年ってずっと寒かったじゃん
? だからさー」
向日葵「だからって……この季節にコタツと
か、見てるだけで暑くなりますわ……」
櫻子「うん、だから今年の夏はわざわざ向日
葵んちに通ってたの」
向日葵「やたら私の部屋に入り浸ってたのは
そういう理由でしたの!?」
櫻子「うむ!」エヘン
向日葵「な、なんという不精者……こんなこ
とならもう少しマメに様子を見に来るべきで
したわ……」
櫻子「そーだそーだ。櫻子ちゃんのカントク
ふゆきとどきだぞー向日葵ー」
向日葵「」イラッ 

となる。

PCの画面では1台詞が1行に収まっていたが、携帯では1台詞の行数が不定になる。そのため、空行なしの形式では人物の切り替わりが目立たなくなってしまい、かなり読みにくくなることがわかる。

このような理由によって空行ありの形式が好まれるようになり、広まっていったのではないだろうか。

*1:ショートストーリー、サイドストーリー等の略とされる。

*2:VIPで謂うところの「もしもし」