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しろもじメモランダム

文字についてあれこれと。

一の五言絶句

読み

なんか変なもの見つけたので紹介。

以下、前後の内容もあわせて「一ノ五言絶句」の項全体を転載。本来は旧字体カタカナ交じり文だが、面倒なので新字体+ひらがなで済ませた。

●一の五言絶句

漢字に意義多きは転注の結果なり宛も車の回転する如く此より彼に転じ行き又水の注ぐが如く此より彼に流れ行き其文字本来の意義を引伸展転して近似せる他の意義に流用せるのみならず其義の転ずるに従ひて其音を異にするものあり又其義を転ずるも音同じきあり。其他時としては全く反対の意義を有するものさへあり。予嘗て戯れに一を二十並べ五言絶句に擬して左の如く詠したり

(引用者註:ルビを右に示した)
一一一一一   いちを もつぱらにするは まつたふするの もと
一一一一一   かず かずの くにを みな すべむとすれば
一一一一一   ひとしく きはめて まことなれ はじめて かたぎなし
一一一一一   くに きよくして まさしく いと やすし

一には 専 国 全 完 元 数 皆 統 均 極 誠 始 無敵 清 正 純 寧 同 盈 少 生 霊 元気 勉 一度 偏の如き多数の意義あり。如何にも本気の沙汰とは受取られざる程なりければ何故に難字を無数に製作する暇に一字に種々の意を附し万事を唯だ一字にて書き現はす様に工夫せざりしやと弥次気を出し右の如き戯作を試み自ら傑作なりとして独り笑みぬ

松下禎二『文字ノいろ/\』福音印刷会社・裳華房書店, 1920年, pp. 518–520

ちなみにこの松下禎二という人は、医学博士・理学博士だとか。