『電脳文化と漢字のゆくえ―岐路に立つ日本語』
図書館から借りて読了。10年ほど前の、いわゆる「JIS漢字批判」の本。
当時の状況はよく知らないが、この本の内容はいろいろとツッコミどころがある。まぁ、すべてがすべてアレだというわけではないけど…。書評など、関連するページを挙げておく。
- 『電脳文化と漢字のゆくえ』拾い読み
- ■その18 電脳文化と漢字のゆくえ
- “工業に立ち向かう文化”という幻想 Page.1
- 『いま、何が、なぜ、問われているのか』について
- 小形克宏の「文字の海、ビットの舟」――文字コードが私たちに問いかけるもの
平凡社編『電脳文化と漢字のゆくえ―岐路に立つ日本語』1998年,平凡社刊,は「編者 平凡社」としているだけで編者の顔が見えない。しかし,収められたなかには,紀田順一郎署名の文章のようにあたかも1978年にJIS第1水準,83年にJIS第2水準が制定されたかのような記述(事実は第1,第2水準ともに1978年制定)が挟みこみの正誤表で訂正されるというほど基本的な事実についても驚くほど杜撰である。しかし,いや,それゆえにというべきか,本稿で対象とした「工業と立ち向かう文化」という言説を研究するためには必読の文献である。
“工業に立ち向かう文化”という幻想 Page.4
たしかに、そういう意味では興味深い。この本は。
関連
p. 165 に出てくる「妛芸凡」なる姓について。
誤植でないとしたら、ワープロ(JIS第一水準、第二水準、および補助漢字等)には見られない字
という記述は誤り。第二水準に収録されている。この本の発行は1998年1月だが、「妛」については JIS X 0208:1997*1の附属書7「区点位置詳説」でしっかりと解説がなされている*2。逆に誤植だとしたら、「JIS批判の文章なのに、そんな曰く付きの字に誤植するなんて…(´・ω・`)」ということに。
…やはり誤植ですかね。
*1:1997年1月改正、同年2月規格票発行。
*2:JIS X 0208:1997 p. 289, 290