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しろもじメモランダム

文字についてあれこれと。

松邑三松堂のチラシは後期五号仮名

書体

『辞海・語言文字分冊』の中に、青いチラシが挟まっているのを見つけた。これがその画像。

反対の面。

大きい画像も下に置いておく。実際の大きさは157×233(mm)。

和文活字についてはあまりよく知らないのだが、小宮山さんの解説記事を参考に調べてみた。
千都フォント|連載#5「書体の覆刻」

図版と見比べてみたところ、「西脇呉石先生用筆」の面の仮名書体はどうやら築地体後期五号仮名のようだ。ただ、「と」「ど」「お」の字形が違っている。

『活版見本』を見ると、後期五号の「と」の縦画は「点」の形をとり、私達がいま見慣れている縦に作る「と」は使われていません。「お」「え」は「於」「江」の草体(今では変体仮名と呼ばれています)が入っています。「え」の字形は万葉仮名のほうに入っていますが「お」の字形は入っておらず、この時点では「お」の字形は作られていなかったのかもしれません。大正2年の見本帳の「平仮名及び付属物」も草体の「於」と「江」ですが、「万葉仮名」として「お」「え」が入っており、縦画を垂直に作る「と」も入っています。

千都フォント|連載#5_7

大正2年の見本帳については、下の記事に大きな画像が載っている。

http://dosei3.no-ip.org/~uakira/n/?date=20050805

比較してみると、「と」「ど」「お」はこの見本帳に「万葉仮名」として載っている字形っぽい。

また全体で6箇所ある「を」のうち、3行目 三種を選定して の「を」だけ字形が異なっており、これは万葉仮名(下図左端)の字形とも違う。調べてみると、この「を」は前期五号仮名の「を」だった。

ちなみにこの西脇呉石という人物は、国定の習字教科書を揮毫した書家の一人らしい。