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文字についてあれこれと。

漢字テストのふしぎ

東京ビデオフェスティバル2007 | 作品視聴 漢字テストのふしぎ

小中高200名の先生による漢字テストの採点のバラツキや基準の曖昧さに着目し、要因を解明する行動の取材記録。教育委員会文化庁などの関係部門に基準はなく、入試基準か先生のこだわりなのか。様々な発見や矛盾を高校生が明らかにしていく。

東京ビデオフェスティバル2007 | 作品視聴

ちょうど1年ほど前に、東京ビデオフェスティバルで大賞を受賞した作品。長野県梓川高等学校放送部が制作。この作品についての記事は読んだことがあったが、実際の映像は初めて見た。よくできている。

問題の常用漢字表などはこちらから。 → http://www.bunka.go.jp/kokugo/frame.asp?tm=20080305220419

小学校のころの私は、先生の言うことを真面目に受け入れる素直な良い子(笑)だったので、漢字も先生の書くとおり、教科書に印刷されるとおりにきっちり書いていたし、またそれが絶対だと信じていた。漢字の読み書きは得意で、小テストでもかなり良い点を獲っていた憶えがある。

4年生のとき、その小テストでパーフェクトが続いていた時期があった。まぁ今考えてみれば、別に大したことでもないのだが……。しかし栄光は続かない。その記録を止めたのは、そう、忘れもしない「倉」の字だ。教科書体をはじめ、多くの書体では2画目は「一」になっている。私はそれを「丶」と書いたのだ。バツになった。

あのとき常用漢字表の前書き・解説を読んでさえいれば……!

ああ、思い出すだけでももどかしい。

まぁ抗議したとしても、その先生が漢字について、そこまで理解があったかどうかは怪しいけど……。

ええ、当時の私は先生を信じ、「就」の11画目(最後から2つめ)の起筆も律義に曲げて書いていましたとも。そう、曲げなければ誤りだという言葉を鵜呑みにして。

愚痴になったので話を戻して。

上の映像を見てみると、先生側としてもそう簡単に受け入れることはできないようだ。漢字テストとなると、どこかで字体の基準を定める必要がある。

小学校のうちは教科書どおりにきっちり書かせておいて、中学生になったら「実を言うと『この字形じゃなけりゃ絶対にダメ』なんてことはないんだよ。でもテストじゃ念のため教科書の字形で書いといてね。入試でバツにされて文句言われても困るし」と本音(?)を教えるのが、現実的な対応策だろうか。もちろん小中学校ともに、先生が漢字を正しく理解していることが前提だけど。